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診療報酬の支払い拒否

18.07.20

患者は医療機関との間で診療契約を締結しており、患者は実施された治療に対して診療報酬を支払う義務があります。健康保険により患者の自己負担額が低廉であることもあって、診療報酬をめぐって患者とトラブルとなることはほとんどないようです。
もっとも、まれに医療機関を受診し治療を受けたにもかかわらず、理由をつけて診療報酬の支払いを拒否する患者も見られます。特に問題となるのが、医療に問題があったと主張して診療報酬を拒否する患者です。
このような場合に、医療機関では、診療報酬を減免する等して請求を行わない対応をすることもあるようです。特に、医療に何らか問題があった場合には後ろめたさや大事にしたくないという心理も働くのかも知れません。
しかし、仮に医療に問題があったとしても、患者が、直ちに診療報酬の支払い義務を免れるわけではありません。もちろん、医療者に過失があり、それによって患者に、本来必要ないはずであった治療を要した場合には、その治療にかかる診療報酬について、医療機関が賠償をしなければならないことはあり得ますが、過失の有無、過失によって本来必要ないはずであった治療を要したかは、法的な検討、評価が不可欠です。検討をせずに当然に患者の診療報酬を減免する対応は問題があると思われます。
場合によっては、クレームや難癖をつけて診療報酬を免れようとしている悪質なケースもあり得ます。また、法的に過失があると評価される事案であっても、当初入院費を免除して入院を認めていたことにより、その後延々と何年にもわたって無償での入院を認めざるを得なくなり解決が困難となった事例も目にしたことがあります。
患者から診療報酬の支払いを拒まれた時点で、弁護士等の専門家に相談し、患者の主張の当否を法的観点から検討した上で、患者の支払い拒否に正当な理由がないと判断される場合には、毅然として診療報酬の請求を行っていくべきと考えます。
当事務所では、診療報酬に関するご相談も承っておりますので、ご遠慮なくご相談いただければと思います。

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 渡邊健司

医療機関における携帯電話等の使用について

18.06.15

今日、携帯電話・スマートフォンは、市民の日常生活において欠かせない道具となってきました。
少し前までは、医療機器に悪影響を及ぼす可能性があるとして、病院、診療所の中で携帯電話を利用することは禁止されていたイメージですが、現在では、携帯電話を使用することができる病院、診療所も増えてきています。
また、近年、医師の説明内容、説明した際の画像などを、携帯電話の録音・録画機能を利用して、録音・録画することを患者が要望することが増えてきています。このような録音・録画は、患者のインフォームド・コンセントのためには有用であることは間違いないと思います。他方で、無制限に録音・録画を認めると、他の患者の個人情報の漏洩につながるおそれもあります。
厚生労働省のHPには、医薬品・医療機器等安全性情報No.317「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針について」や、電波環境協議会のHPには「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」などが掲載されています。これらの指針・手引きなどを参照しつつ、肝心な医療に悪影響が出ないことを第一としつつ、患者の利便性を向上させることが大切になります。
携帯電話・スマートフォンの利用に関しては、各医療機関の規模に応じて、適切なルール設定を行う必要があります。他の患者の個人情報保護も重要な観点となってきます。どのようなルール設定を行うのが良いか迷われる場合には、当事務所の弁護士にご相談いただければと思います。当事務所では、このような医療機関の運営に関する事項についても、法的観点を踏まえつつ、適切なアドバイス・助言をさせていただきます。

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 木村 環樹

患者の意向とご家族の意向

18.05.18

  病院で勤務していると、患者とご家族で意向が分かれており、今後の治療方針を決定できないというご相談がよせられます。(患者は治療を受けたそうにしているが家族が反対する場合もあれば、患者は治療を拒否しているが親族が可能な限りの治療を求める場合もあります)。
医療者としては、患者とご家族の板挟みになり、なかなか対応に苦慮することも多いかと思います。
このような場合、そもそも何故患者の意向やご家族の意向に配慮する必要があるのか、という根拠に立ち返って検討し、今後の方針を助言しています。
患者の意向を尊重する根拠は、患者の自己決定権にあるため、患者が適切に治療方針を選択できるだけの情報提供ができているか、患者がどのような気持ちで方針決定したのかを聴取し、患者の真意を探る必要があります。
一方、ご家族の意向に配慮する根拠は色々考えられますが、重要なのは「ご家族であれば、患者の利益を考えてくれるはず」という前提だと考えます。そのため、ご家族の意向が患者の利益にならないと考えられる場合は、粘り強くご家族を説得することもありますし、事態が膠着した場合は高齢者虐待防止法・児童虐待防止法などを活用していく場合もあります。
「患者やご家族に十分な説明する」というだけでなく、誰に、いつ、何を、どうやってお話しするのか、具体的な助言をさせていただきます。当事務所は東海三県を中心に様々なご相談に対応しております。お気軽にご連絡ください。                                                                                                                                                                                                  名古屋丸の内本部事務所 弁護士 米山健太

証拠保全の対応

18.04.24

ある日、突然裁判所から証拠保全決定という文書が届き、間もなく裁判官や患者さんの弁護士が医療機関に訪れ、診療記録等の開示を求めてきた。そのようなご経験はないでしょうか。
証拠保全とは、民事訴訟法上の制度で、「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情」がある場合に、特別に証拠調べを行う手続です。
医療事故などの紛争では、裁判の場で診療記録の証拠調べをすることが本来なのですが、裁判を起こしてからだと改ざんをされるおそれがあるということで、事前に証拠保全によって、裁判外での診療記録を開示させ、証拠調べをすることが一般に行われています。現在では、患者さんからの診療記録の開示には応じている医療機関がほとんどですが、患者さんから見れば、医療機関がカルテを改ざんしているという疑いは根強いのでしょう。
 さて、証拠保全は突然来て、実施されますので、事前に開示するかしないかを検討する余裕はありません。また、裁判官が開示しろと言うので、言われるままに開示しなければいけないと考えてしまうかもしれません。
しかし、医療機関の純粋な内部資料など、直ちに開示すべきではない資料もありますし、開示対象となるか法律家の間でも議論のある資料もあります(場合によっては裁判官に対して、開示対象ではないと反論すべき場面もあります。)。可能な限り、医療機関側の弁護士に連絡をとり、その指示に従って対応すべきです(弊所では、顧問契約を締結している医療機関には、お電話や電子メールでの迅速なご相談に対応しています。)。
 また、そもそも証拠保全が来た場合にどのように対応するか、院内でマニュアルを作成しておくと、いざというときに安心です。当事務所医療チームの弁護士はいずれも証拠保全の現場立会いを数多く経験しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。
                                           名古屋丸の内本部事務所 弁護士 渡邊健司

応招義務について

18.03.16

 医師法19条1項には「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と定められています。
 つまり、医師は、患者から診療を求められた場合、「正当な事由」がない限り、これを拒んではならないのです。
 しかし、「正当な事由」とは何なのかが抽象的ではっきりとしません。
 この点につき、(当時の)厚生省は、行政解釈につき通知を出しています(昭和30年8月12日)。この通知の中で、「正当の事由」のある場合とは、「医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」としています。
 残念ながら、不当に診療費未払が続いている患者や、不当なクレーム・暴言の多い患者も少なからずいらっしゃいます。
 このような患者に対し、どこまで診療を実施しなければならないのかなどお悩みをお持ちの医療機関も多いと思います。法的解釈に関わることですので、弁護士に相談し、「正当な事由」の有無を適切に判断することが重要です。

                                             丸の内本部事務所 弁護士 木村 環樹

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