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不妊治療への保険適用

20.10.15

 菅首相のもと、不妊治療に対する保険適用実現が政策の一つとして掲げられております。
 現在不妊治療は保険適用外であることから医療費は高額になりがちであり、経済的な負担から不妊治療をあきらめる方も多いかと思われますので、不妊治療への保険適用が実現すれば、これまで不妊治療をあきらめていた方も治療を受けることが可能となり、妊娠を望まれる多くの方々にとって意義のある政策になるかと思います。
 他方で、保険適用となれば制度的に複数の選択肢から患者が適切な治療法を選択する混合診療が受けられなくなり、高額な治療費を払ってでも子どもが欲しい世帯が、高度な治療を受けられなくなる可能性があるのではないかという懸念の声も上がっており、適切な法整備が待たれるところです。
 現時点では、政府は、不妊治療への保険適用の実現には早くて2年程度かかるという見方を示したうえで、実現までの間は、助成制度の拡充などで治療を支援するようです。保険適用の実現を待たれている方も多いかと思いますので、実現すれば不妊治療を受ける方が増加するものと見込まれます。
 もっとも、治療を受ける方が増加するということは、それだけ医療トラブルが発生する可能性も高くなるところです。昨年には、不妊治療のため凍結保存中だった受精卵の移植に同意していないにもかかわらず、別居中の元妻が同意書に無断で署名し出産したとして、男性が生まれた長女との間に親子関係がないことの確認を求めた訴訟について、請求棄却の判決が下されるなど(大阪家裁令和元年11月28日)、不妊治療に係るトラブルが発生しております。
 政治の変化により日々医療分野も変化をしていく中で、医療トラブルに柔軟に対応していく姿勢が必要となり、弁護士に気軽に相談できる環境の重要性が高まっているかと思いますので、法的問題に直面した際には弊所の医療専門部にお気軽にご相談ください。
                                           名古屋丸の内本部事務所 弁護士 黒岩将史
 

新型コロナウイルスをきっかけとした経営の見直し

20.09.16

 新型コロナウイルスはあらゆる業界に大きな影響を与えており、弊所も例外ではありません。相談者の皆様に安心していただくため、各種対策の徹底やオンライン法律相談を開始しています。
 しかし、医療業界ほど新型コロナウイルスの影響を直接受けている業界と思われます。院内感染予防のための対策におわれる一方で、患者数の減少への対策も考えねばなりません。
 このように医療機関に大きな負荷がかかるとき、その内部では様々な法律問題が生じます。例えば、感染対策を検討させるため職員に過剰な労働を強いれば残業代支払いや安全配慮義務をはじめとする健康管理の問題が生じますし、業務により職員が新型コロナウイルスに感染すると労働災害の問題が生じます。売上げの減少に歯止めがきかず、人事異動や人員削減を行えば、各種異動命令や整理解雇の有効性が問題となります。特に、コロナウイルスを理由とした解雇はマスコミに報道される危険性もあり、医療機関の評判に関わる問題です。
 検討すべき点は各問題によって様々ですが、いずれの問題も事前の慎重な検討とスケジュール管理が重要になることは共通しています。逆に言うと、これらの検討をおろそかにして各種命令を出した後では、取り返しのつかないリスクを背負う可能性があります。
 経営問題と法的リスクへの対処は切っても切れない関係です。この機会に病院の経営の見直しを検討される場合は、法的リスクと事実上のリスクを総合的に検討し対処するためにも、当事務所へ早期にご相談ください。
                                           名古屋丸の内本部事務所 弁護士 米山健太

医療法人の買収

20.08.17

 テレビドラマ「半沢直樹」が人気を博しています。今期(2020年度)のドラマ前半では敵対的企業買収を巡るストーリーが展開されましたが、医療機関を経営する医療法人においてもこのような買収はあり得るのでしょうか?
 株式を公開している株式会社については、現在の会社経営陣と敵対する勢力が株式市場において株式を取得し、過半数の株式を得ることで敵対的企業買収が可能となります(半沢直樹のストーリーも株式会社同士の買収でした。)。他方、医療法人の場合、公開の市場で支配権を取得する制度はありませんので、敵対する第三者が一方的に支配権を獲得することはできません。
 もっとも、医療法人でも、取引によって買収(M&A)を行うことは可能ですし、現に行われています。医療法人のうち大多数を占める社団医療法人では、社員が株式会社における株主に相当しますが、社員から社員たる地位を取得することで医療法人の支配権を得ることができます。
 従来は厚生労働省の解釈において社団医療法人の社員には自然人しかなれないとされており、法人が社員となることはできないとされていました。現在では、解釈が変更され法人も社員になれると解されていますので(ただし営利社団法人である株式会社は社員になれないと解されています。)、親子会社のように医療法人が医療法人を買収することも可能と考えられます。
 注意しなければならないのは、医療法人の社員は、社員総会において1人1票の議決権しか有しないという点です。これは株式会社において株主が保有株式数に応じて議決権を行使できることと大きく異なります。旧制度下で設立された出資持分のある医療法人でも同様で、莫大な出資を行った社員と、出資を行っていない社員とで、社員総会での議決権は平等に1票ということになります。したがって、医療法人を買収するためには、出資額等によらず、単純に社員数において多数を占めなければならないことになります。
 医療法人のM&Aの手法は、医療法人の買収だけではありません。医療法上、医療法人の合併や分割が定められていますし、病院や診療所など個々の医療機関について事業譲渡の方法により経営権を取得することも可能です。さらにM&Aとは少し趣旨が異なりますが、地域医療連携推進法人制度によって、医療法人同士で緩やかな連携体制を構築することも可能となっています。今後医療機関の再編が進む中で、これらの手法を検討することも重要な経営戦略となるのではないでしょうか。
 当事務所では、医療法人のM&Aについて、スキームの立案や、法務調査(デューデリジェンス)、契約、実行等について法律的な側面から助言をしていますので、ぜひご相談いただければと思います。
                                         名古屋丸の内本部事務所 弁護士 渡邊 健司

医療機関におけるハラスメント対策

20.07.08

 職場のハラスメント対策について、関連法令の改正につき令和2年6月に施行されました。具体的な内容については、厚生労働省のホームページに掲載されていますので、ご参照ください。
 厚生労働省からは、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」が発表されています。この指針の中では、パワーハラスメントの定義、具体例、対策などが盛り込まれています。当然のことではありますが、医療機関内においても、通常の企業と同様にハラスメント対策を行う必要があります。
 ハラスメント問題が発生した場合には、医療機関としても、適切な対応を行うことが求められます。具体的には、迅速な事実確認(ヒアリング)、ハラスメントの解消に向けた対策の検討、再発防止策の検討などを行う必要があります。
 このような対応を迅速・適切に行うためには、ハラスメント相談・報告があった場合に、速弁護士等に相談し情報共有を行いながら対応方針を決めることが重要となります。ハラスメント対策については、弁護士と医療機関の担当部署との連携を取ることが重要であると考えます。
 ハラスメント対策にお悩みがございましたら、ご相談いただければ幸いです。また、弊所では、弁護士による職員向けのハラスメント対策研修等も実施しておりますので、お気軽にお問合せください。

                                          名古屋丸の内本部事務所 弁護士 木村環樹

オンライン診療

20.06.15

 昨今、新型コロナウイルスの影響により世間では様々な分野で在宅ワークが普及しております。弁護士の業界も例外ではなく、弊所においても緊急事態宣言下において、週に1回程度弁護士の在宅ワークを取り入れ、新型コロナウイルス蔓延の防止策を取っておりました。今後様々な分野で在宅ワークの環境整備が加速していくものと考えられます。
 加えて、世間には在宅者向けの多くのサービスが溢れておりますが、医療分野においても例外ではなく、オンラインによる診療が注目されており、実際に取り入れている病院もあるようです。
 しかし、オンライン診療に関しても、医師法で無診察治療等の禁止が規定されていること、医療法で医療提供場所の制限につき規定されていること等の関係から、オンライン診療と一言でいっても、どこまでの行為が許されるのかといった法的な問題をはらんでいます。そのため、行政においても整備を進めるべく、厚生労働省から、オンライン診療で実施可能な行為やオンライン診療を行うに当たり最低限遵守すべき事項などを定めた「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が出されるなど整備が進んでおり、今後も法整備が進むことが予想されます。
 オンライン診療を始め、今後発展が見込まれる分野には法的な問題がつきものですので、弁護士に気軽に相談できる環境づくりも重要になるのではないかと思います。弊所には医療専門部も設置しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
                                            名古屋丸の内本部事務所 弁護士 黒岩将史

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