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「いいから薬をだして!」という訴え

19.02.19

 私事ですが、先月予防接種の甲斐なくインフルエンザにかかり、近医(内科)の受診をしました。医師の検査・処方が終わり、近くの薬局で調剤されるのを待っていましたが、別診療所(整形外科)の患者と思われる人は「なんでいつもの薬がないの!私には●●が効くの!」と訴え不穏な雰囲気でした。
 さて、多分に推測を含みますが、このような場合①処方薬の変更に関する医師が不十分だった②医師は変更を説明したが患者は納得していなかったなどの原因が考えられます。
 医師は、治療の必要性やメリット・デメリットを説明し、患者の同意を得て治療を行う義務がありますので、処方薬の変更について説明義務を負っていると考えられます。
一方で、十分な説明をしても患者が納得せず、適応の治療や薬剤にこだわる場合、患者の求める治療を拒絶して良いかは応召義務や自己決定権の問題となります。応召義務との関係では「正当な理由」があれば診療を拒否できるとされていますし、自己決定権は「適応のある治療を拒否する」という限りで有効ですが、適応のない治療を医師に強制する根拠にはなり得ず、結論的には治療を拒絶しても許されると考えます。
 このように、クレーム一つ取り上げてみても、その背景には複数の法律問題が関係しており、総合的な検討が必要になります。当事務所は、東海三県を中心に、医療機関からのご相談を受け付けておりますので「些細なことで・・・」と思わず、お気軽にご相談下さい。
                                           名古屋丸の内本部事務所 弁護士 米山健太

行政との折衝の重要性

19.01.22

 少し前に放送されたドラマ「半沢直樹」では、銀行に対する金融庁検査の様子が描かれていましたが、医療機関の場合、都道府県知事や保健所を設置する市、特別区の長による立入検査(いわゆる医療監視)があります。医療監視以外にも、新たに病院や診療所を開設する場合や、M&Aを行う場合、医療法人の定款を変更する場合、日常的な診療において医療法上の疑義が生じた場合等様々な場面で、行政と協議し、折衝する必要が生じます。
 ところが、実際の行政担当者との折衝の場面では、時として粗探しとしか思えないような指摘や、法令の形式論のみが振りかざされ、現場における具体的改善策が見えてこない指摘をされることも少なくありません。また、医療法の解釈も難しく、一義的ではない条文も多いため、曖昧な指導に対して医療機関側が対応に悩んでしまっているケースも見受けられました。
 行政と対立するのはよいことではありませんが、やはり監督を受ける医療機関の側でも言われたとおりそのまま従うだけではなく、法令の趣旨や根拠を検討し、行政の担当者に積極的に提案して、医療機関としてあるべき対応を模索していくべき場合もあると思われます。
 行政との折衝の場面では、弁護士に相談するというイメージがわかないかも知れません。弁護士は医療法の解釈や行政通達、判例等を根拠として、医療監視の準備や行政担当者との折衝についても助言をすることができますし、最悪の場合に、不利益な行政処分を受けてしまった場合には、処分の取消しを求めて裁判所に提訴することも可能です。
 当事務所では医療機関と行政の折衝が円滑に進むよう、検査の立会いや、法令の解釈に関する助言、折衝の方法に関する助言を積極的に行っていますので、お気軽にご相談をいただきたいと思います。
                                           名古屋丸の内本部事務所 弁護士 渡邊健司

カルテ記載の難しさ

18.12.17

 医師法24条第1項には「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。」と定められています。

 カルテを記載することの目的の1つに、患者情報を残すことで、患者情報をスタッフ間で共有し、適切な医療行為を行う検討資料とすることが挙げられます。

 患者の診察などで忙しい医療スタッフの方にとっては、カルテ記載を充実させる必要性は十分に認識しているものの、カルテ記載に多くの時間を割くことは現実的には困難なこともあるかとは思います。

 いかにして、効率よく、かつ、客観性の高いカルテ記載を目指して行くかということは医療機関のスタッフの方々にとっては重大な課題であると言えます。

 患者に対する説明義務との関係でも、医療行為に関する患者への説明内容をカルテに記載することが望まれます。また、医療事故が発生した場合には、経時的に事実を正確にカルテに記載しておくことが重要となります。

 カルテ記載に関するお悩みがございましたら、当事務所にお気軽にご相談いただければと思います。また、当事務所では、大学病院で院内弁護士として勤務した経験のある弁護士の視点から、カルテ記載のポイントなどにつき、医療法人、病院、診療所の各医療機関のスタッフの方々を対象とした講義(講演)も対応させていただいております。こちらにつきましても、ご興味をもたれましたらご連絡いただければ幸いです。

                                            名古屋丸の内事務所 弁護士 木村 環樹

オンライン・スマホ診療について

18.11.27

 従前の通常の診察では、まず患者が病院・診療所を訪問し、医師と直接対面した上で、医師は問診、触診、聴診その他の検査結果を総合的に考慮して、病名を診断し治療方針を決定することになります。しかしながら、近時はこれに変わる手段として、一定の医療分野でいわゆるオンライン診療・スマホ診療の遠隔治療も普及してきています。

 しかしながら、医師法20条は無診察診療を禁止しており、あくまで原則的な診療方法は対面診療であると理解されています。そのため、遠隔治療が無制約に認められているわけではなく、診断するに足りる十分な情報を集めることができる場合など、活用できる場面は限定されています。また、個人情報の保護やセキュリティ対策など、通信手段を用いる遠隔治療ならではの法的リスクもあります。

 医療機関の競争が激化する中、様々な診療方法を検討される方も多いかと思います。事前にご相談いただき、関係する法的規制・リスクを総合的に検討することをおすすめします。

                                          名古屋丸の内本部事務所 弁護士 米山 健太

患者説明の重要性

18.10.16

 いまや医療機関、医療従事者にとって、 インフォームドコンセントは常識となっていると思います。昔は、「手術は全て任せておけ!」といったスタイルの医師もいましたが、今では、病院全体のルールとして、手術前に、患者に手術説明書を渡し、病状や手術内容について十分に説明をして同意を得てから手術を実施する手順になっていることが多いと思われます。

 とはいえ、依然として、医師の説明義務違反が問題となり訴訟に至ることがあり、医療機関から、具体的にどのような方法で説明をすれば裁判になりにくいのか相談を受けることも少なくありません。

 インフォームドコンセントは、本来患者の自己決定のために必要な情報を提供するという考えがもとになっていますので、ただ単にルーティンとして説明をこなすのだけではなく、患者に、本当に治療について十分に理解をしてもらい納得して治療を受けられることが求められます。説明書の内容も医療用語を羅列するのではなく、図なども駆使して患者にもわかりやすいよう工夫することが重要です。

 近年、治療を拒否する患者について、治療を拒否することによる不利益を十分説明していなかったと主張され、訴訟が提起される例もみられます。患者は医学の素人ですから、治療を受けないことによって自らの身に対するリスクを十分に理解していないこともあり得ます。治療を受けないという選択をする場合であっても、患者の自己決定のために必要な情報を提供するという点で重要性は異ならないといえます。

 医師の説明を充実させることは医療機関の医療の質を高める上で重要な経営課題にもなっているようです。当事務所では、説明同意書のチェックや、具体的状況下で説明義務違反を問われないためのポイントの指導などもおこなっていますので、お気軽にご相談頂ければと思います。

                                           名古屋丸の内本部事務所 弁護士 渡邊健司

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