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応招義務に関する新通知

20.01.16

 昨年12月25日に、厚生労働省医政局長からの通知「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」が出されました(医政発1225 第4号)。
 医師法19条は、診療に従事する医師について、正当な事由がない限り診療を拒否できないこと定めています。かつての行政解釈では、「医業報酬が不払であっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない」(昭和24年9月10日医発第752号通知)、「『正当な事由』のある場合とは、医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」(昭和30年医収第755号回答)等、応招義務の範囲を広く認めていました。そのため、診療費の悪質な不払いがある患者や、悪質なクレーマーの患者であっても、患者の求めがある場合には常に診療に応じなければならないと考える医師も多く、医療現場が疲弊する一因になっていたように思われます。
 今回の通知は、医療機関における働き方改革が推進されていることも踏まえ、診療の求めに応じないことが正当化される場合の考え方として、①患者について緊急対応が必要であるか否か(病状の深刻度)を最も重要な考慮要素としつつも、②診療を求められたのが診療時間・勤務時間内であるか、③患者と医療機関・医師・歯科医師の信頼関係、も重要な考慮要素であるとされました。
これらの考え方自体は、目新しいものではなく、これまで裁判例等でも指摘されていたところではありますが、現在の医療体制や医師患者関係、医師の労働環境改善の要請等を踏まえ、厚生労働省が通知として示したことには大きな意義があります。
 今回の通知を参考に、医療の現場でも、例えば悪質なクレーマーや、悪質な診療報酬の不払いがある場合等で、病状が深刻ではない患者について、診療を拒否しやすくなるものと思われます。
 ただし、現実には、通知で挙げられている具体例のように明らかな信頼関係の喪失と評価できる場合ばかりではありません。診療時間外・勤務時間外の場合でも、患者の病状との関係で悩ましいケースも多くなるものと思われます。新通知で示された解釈を形式的に当てはめるのではなく、解釈の背景にある考え方を理解し、段階を踏んで柔軟に対応していくことが求められます。
 当事務所では、応招義務に関するご相談について、豊富な対応経験があります。具体的な状況に応じて、診療に応じるか、拒否すべきか、拒否するとしてもどのようなプロセス、段階を経るべきかについて、具体的にアドバイスをさせていただきますので、是非ご相談ください。

                                           名古屋丸の内本部事務所 弁護士 渡邊 健司

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